活動報告

【活動報告】 活性化会議レポート 〜学生が市場の「これから」を提案した日〜

はじめに

「市場に入っている会社って、みんなライバル同士」

正直に告白すると、プロジェクトが始まった当初、私はそう思い込んでいました。市場とは、自分の商店の売上を伸ばそうとする企業たちが集まり、互いに切磋琢磨する場所、そんなイメージを持っていたんです。

でも実際は、まったく違いました。北部市場には「活性化会議」という場があり、卸売業者や仲卸業者の代表の方々が、青果・水産のジャンルの垣根を越えて集まっている。それぞれが自分の商売を背負いながら、「市場全体をもっと良くするために」一つのテーブルで議論を交わしています。会社同士は競い合っていても、市場という船は全員で漕いでいる、その事実を知ったとき、市場の見え方が大きく変わりました。

目次

  • 活性化会議に参戦
  • Instagram運用企画
    ― 「発信者目線」を「視聴者目線」に変える
  • 3Dayワークショップ
    —「知られていない」という最大の課題へ

活性化会議に参戦

会議の場には、12名の委員メンバーの皆様と、それを支える4名の事務局の皆様が顔を揃えていらっしゃいました。各社それぞれの立場を背負った方々が、市場全体のために一堂に会している、学生がこうした場に呼んでいただけること自体、本当にありがたく、最初は緊張で胸がいっぱいでした。

でも、議論が始まると空気が変わりました。「若い人にこそ市場の面白さを知ってほしい」皆様の言葉の一つひとつから、市場の”これから”を本気で考えていらっしゃる熱量が伝わってきたんです。立場の違う方々が、同じ未来を見て話している。私たちが提案する側でありながら、教わること多い時間でした。

そんな中で、私たちなごがくから2つの企画をご提案させていただきました。


提案① Instagram運用企画
「発信者目線」を「視聴者目線」に変える

1つ目は、北部市場公式Instagramの運用企画です。

事前に他市場のアカウントを調べていて、ひとつ大きな発見がありました。フォロワーが伸びているアカウントと、そうでないアカウント。
その差は「視点」にあったんです。

たとえば「本日マグロ入荷しました」という投稿。
これは間違っていないのですが、見る人の心は動きません。
一方で「マグロを舐めて品質を確認するって知ってた?」と切り出すと、思わず指が止まる。
同じ事実でも、“発信者目線”“視聴者目線”に翻訳するだけで、伝わり方がまったく変わるのだと知りました。

そこで私たちが立てた方針が3つあります。1投稿・1感情
「知らなかった」「すごい」「応援したい」のどれか1つだけを狙い、情報を詰め込まないこと。現場のリアルを翻訳する
「仲卸」「競り」といった専門用語を、初めて知る人の言葉に変えること。
そして人を主役にする、仕組みよりも、そこで働く人の誇りや本音を前面に出すこと。

実際、初回撮影でセントラル青果の小塚社長の息子様にご教授いただいたキャベツ・白菜担当の方の「いいキャベツの見分け方」は、それ自体が立派なコンテンツになりました。市場には、こうして発信を待っている宝物がいくつも転がっています。

8ヶ月かけて「認知→学び→共感→深化」と感情を積み上げていく運用計画も含めてご提案したところ

この企画は、無事ご承認をいただくことができました! 何日もかけて調べ、考え抜いた企画が、市場のプロである委員会の皆様に「やってみよう」と認めていただけた。その瞬間は、努力が報われたようで心から嬉しかったです。

そして何より嬉しかったのが、プレゼンの後でした。この企画は無事ご承認をいただけただけでなく、委員の皆様から次々とアイデアが飛び出してきたんです。

「目利きの動画はいいかもしれない」
「市場の人がランダムに選ぶ”今週のベスト3″があったら面白い、今週なら枝豆とか」
「飲食店を巻き込んだイベントもやってほしい」

買参の筒井紘康様は
「Instagramだけじゃなく、他のSNSもやってもいいのでは」
と発信の幅を広げる視点をくださいました。

なかでも、ご自身も過去にSNS発信をされていたという水仲の天野祐識様の言葉も印象的です。
「今日のプレゼンを見て、自分たちは”ダメな投稿の仕方”をしていたんだと気づいた。やり方を教わりながら、一緒に組んでやっていきたい」

市場のプロである方が、学生のプレゼンを真正面から受け止めてくださったことが、心より嬉しかったです。


↑イベント提案の様子

提案② 3Dayワークショップ
「知られていない」という最大の課題へ

2つ目は、私たちと北部市場をつないでくださった、
名古屋市中央卸売市場北部市場
管理課課長補佐の寺沢様

今後、開催予定の企画として、
「3Dayツアー×職業体験 × ワークショップ」イベントをご提案させていただきました。

市場が抱える課題を調べる中で、いちばん根が深いと感じたのが
「そもそも知られていない」という事実でした。

人手不足も、若年層の応募の少なさも、突き詰めれば
「市場で働けることを、学生がほとんど知らない」
に行き着く。

それならば、まず学生自身に現場へ飛び込んでもらうのが
早いのではないか、そう考えて設計したのが、この3日間のプログラムです。

1日目は市場ツアーで「知る」
2日目は実際に職業体験バイトとして「働く」
そして3日目は、見て・働いたからこそ気づいた意見を、市場の皆様と「一緒に考える」
学生が一方的に学ぶだけでなく、若い視点を市場にお返しできる構造を目指しました。

寺沢様にこの草案をお伝えしたところ、こちらも、ご承認をいただくことができました!
こうして次の一歩を一緒に踏み出せること。ご承認の言葉以上に、寺沢様への感謝で胸がいっぱいになりました。

知らなかったことを、知る。働いてみる。そして一緒に考える。
北部市場の「今」と「これから」を伝える発信は、ここから本格的に始まります。

これからの北部市場プロジェクト、ぜひ楽しみにしていてください!

コラム

活性化会議(かっせいかかいぎ)とは ?
「市場を未来に向けてもっと元気に、もっと使いやすくする『作戦会議』」

※時代の変化に合わせて、
「どうすればもっとたくさんの人に新鮮な食材を届けられるか?」
「どうすれば市場で働きたい人を増やせるか?」といった、
市場の未来を明るくするためのアイデアをみんなで話し合い、実行に移す役割を担います。

買参(ばいさん)とは?
「市場の『せり』に直接参加して、大量の食材をダイレクトに買い付けられる特別な権利、その権利を持つ人」

※市場のルールをクリアしたプロ(十分な買い付け能力・市場の「せりのルール」をマスターしている)
「どうすればライバルより早く、狙った食材を納得のいく価格で競り落とせるか?」という視点から、せり人の声や指のサインを瞬時に見極め、周囲のバイヤーたちと激しい価格の駆け引きを行う役割を担います。

水仲(すいちゅう)とは?
「魚(水産物)のプロフェッショナル!『水産物仲卸業者』の略称」

※魚の目利きと、市場の賑わいを支える目に見える主役。
「どうすれば日本全国から集まる膨大な魚の中から、それぞれの飲食店や魚屋さんが求める『最高の1匹』を選び抜き、使いやすい量に小分けして届けられるか?」という、食卓と市場を繋ぐパイプ役の役割を担います。

応募・お問い合わせは Instagram の DM から受け付けています。

名城大学 4年 大野祥平